げーむ の はなし を しよう

邦洋デジアナプラットフォームジャンル関係なくゲームが大好き過ぎるダメ人間が綴るブログ

温故知新も良いけど――『ポケモン ソード・シールド』の転送制限について

皆さんこんにちはこんばんは、あやさわ(@ayasawa_s)です。

さて、今週は世界最大のゲーム見本市である“E3 2019”が開催され、先ごろ閉幕しました。

www.e3expo.com

今年はソニーインタラクティブ・エンタテインメント(SIE)が事前カンファレンスを行わないなど例年と異なる部分もあるものの、多数の新作タイトルや開発中タイトルの発売日が発表されるなど、相変わらずのお祭り騒ぎとなっていましたね。

さて、今日はそのE3から一つ気になった話題をピックアップしたいと思います。任天堂の『ポケットモンスター』シリーズの最新作、ポケットモンスター ソード・シールド』(以下、「ソード・シールド」)についてです。


Pokémon Sword and Pokémon Shield Gameplay - Nintendo Treehouse: Live | E3 2019

E3会期中にオンデマンドされているライブ番組“Nintendo Treehouse:Live”にて、『ソード・シールド』が取り上げられていました。

この番組の終盤、デベロッパーであるゲームフリーク増田順一プロデューサーから、先月発表された2020年初旬にローンチ予定のサービス『Pokemon HOME』を経由して転送できるポケモンについては、『ソード・シールド』内で使用するポケモン図鑑である“ガラル図鑑”に掲載されているものに限る、という発表が行われました。

www.famitsu.com

転送可能なポケモンに制限がつくことについては、上記のファミ通.comの記事でも触れられています。

理由として、同一種の姿形の違いも含めたポケモンの総数はもはや1000体にも及び、それらが相関するバトルバランスの調整や、ニンテンドースイッチに適応したグラフィックスのモデルを作成するために割かなければならないリソースが膨大となったため、とされています。

この発表が、『ポケモン』シリーズの既存プレイヤーの界隈で賛否両論を巻き起こしているようです。

転送できないと何が問題なのか

今回問題とされているのは「過去作のポケモンがなぜ『全て』転送できないのか」という点でしょう。

というのも、これまで歴代の『ポケモン』のメインストリーム作品ではほぼ毎回、何らかの形で前作(あるいは過去作)で育成したポケモンをほぼ全て新作に移行できる後方互換機能が用意されていました。

古くはゲームボーイの通信ケーブルを使用したものから、最近ではインターネットを利用したものまで、様々な形でこれまでのポケモンたちを新しい冒険の舞台に連れて行くことができていました。

www.pokemon.co.jp

しかし今回は転送こそ可能なものの、場合によって自分が連れて行きたいポケモンが新作に移行できない、という状態になっているわけです。

これによる懸念はいくつかあります。まず挙げられるのは「思い入れ」でしょう。

熱心な『ポケモン』ファンの中には、これまでのシリーズで育ててきた自身のポケモンたちを、その時の最新作に持ち越して大事に使っている方も多数います。そういったポケモンはその方達にとってみれば、いわば長年の相棒のような存在になっているわけです。

しかし今回の『ソード・シールド』の仕様では、自分のポケモンたちと共に冒険することがが叶わない可能性が出てきています。“ガラル図鑑”に収録されるポケモンがわからない現状、不安の声が出るのは致し方ない部分があるでしょう。

また別の側面から見ると、「これまで積み重ねてきた対戦用の資産が使用できなくなる」という意見も出てきています。

ゲームとしての『ポケモン』の人気を支える要素の一部である”トレーナー同士の対戦”を楽しんでいるプレイヤーたちからすれば、過去作にかけてこれまで払ってきた育成のコストが無駄になってしまうのではないか、という危惧があります。

これに上記の思い入れの部分も合わさって、否定的な意見がかなり噴出しているようです。

悪いことばかりでもない

上記の要素はこれまでの『ポケモン』シリーズにおいては半ば不文律とされていた部分でもあり、反発が大きいことは想像に難くありません。

しかし、個人的には増田プロデューサーを始めとする開発陣の決断については、理解できる部分が多いのも確かです。

ポケモン』の戦闘については、ここ数年で複雑化の一途を辿っていました。

種族値の把握や努力値の割り振りに個体値の厳選といった育成段階から始まり、実際のバトルでは個々のポケモンのタイプ相性や特性のほかにも、“メガシンカ”や“ゲンシカイキ”、“Zワザ”の使用といった各要素が絡み合っています。


【公式】ポケットモンスター サン・ムーン ZワザをZリングで体感! Vol. 1

もちろん、これらの要素が育成・戦略の面での駆け引きを生み出し、ポケモンバトルを味わい深いものにしていたことは確かです。

しかし現状のシステムは、これまでずっと遊び続けてきた既存のプレイヤーは良いとしても、“これから『ポケモン』の世界に飛び込む新規プレイヤー”にはとても理解が追いつかない(あるいは理解にとても時間がかかる)ものになってしまっています。

開発のリソースが有限であるという部分ももちろん本音としてあるでしょうが、『ポケットモンスター』というプロダクトを今後も長期に継続していくにあたって、ゲームフリークとしてもこういった部分を何とか解消しようと試みているのではないでしょうか。

実際、現行の最新作である『ポケットモンスター Let’s GO! ピカチュウイーブイ』では、対戦や育成に関するシステムがこれまでより幾分か簡略化されている部分もあります。

上記のメガシンカなどのバトルシステムを思い切ってカットするなど、『ソード・シールド』もこの流れを踏襲するものと見ていいでしょう。

もちろん、“ダイマックス”や『Pokemon GO』を彷彿とさせるレイドバトルといった新要素を提示することで、既存のプレイヤーに対してもきちんとアピールはしています。

これらはゲームに対するハードルを下げ、『ポケモン』というタイトルをもっと多くのプレイヤーに楽しんでほしいという開発側の思いが表れていると言えるのではないでしょうか。

実際、今回の変更内容を聞いて僕は久々にポケモンを遊んでみたくなりました。まあ、単純に最新ハードでポケモンが遊べるからって部分もありますけどね……。

あと補足すると、巷ではこれが「完全な後方互換の廃止である」と見ている節があるようですが、厳密にそういうわけではないことは上記の動画を見ていただければわかるはずです。

あくまでも、登場する舞台に合わせて転送できるポケモンに違いがあるというだけで、追加バージョンにしろ完全新作にしろ対戦メインのスピンオフにしろ、今後の作品で一切これまでのポケモンを使用することが出来ないとは一言も述べられていないのです。

今作で日の目を見ることのないポケモンたちは、インタビュー記事の発言を借りるならひとまず「お留守番」という形になると思えば、溜飲も下がるのではないでしょうか。

まあとりあえず様子を見てみましょうや

温故知新、とはよく言いますが、さりとて時には、古いものを振り返らないことが良い場合もあると思います。

今回、根本的な部分に大鉈を振るった『ポケットモンスター』シリーズですが、実際にプレイして見るまではわからない部分もあるはずです。まずは今年の発売を待ってからその評価を下しても遅くはないと思うのですが、果たしてどうでしょうか? それではまた!